2024.9.2
no.74

農林水産物・食品の輸出について
 
 1. 農林水産物・食品の輸出の目標
  日本政府は2020年3月に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」において、農林水産物・食品の輸出額を2025年2兆円、2030年5兆円の目標を設定しました。そして、この目標達成に向け、現在、生産から輸出までの各段階の取組強化、輸出先国の規制への対応強化、輸出先国向けの海外販売戦略の強化、輸出拡大に資するニュービジネスの推進を強力に進めています。
 
 
 
2. 農林水産物・食品の輸出の推移 
 
 
 
 農林水産物・食品の輸出額は関係者の努力もあり、毎年増え続けており2023年は1兆4,547億円 (対前年同期比+2.9%)と過去最高を更新しました。2023年上期はアフターコロナ下で外食の機会も増え、円安の追い風もあり対前年同期比+9.6%と順調に推移しましたが、下期はALPS処理水放出の影響で、中国等が輸入規制を行ったため中国向けの輸出が大幅に減少し、年間トータル対前年同期比+2.9%となりました。
 
3. 目標達成に向けての取り組み 
 農林水産物・食品の輸出額を2025年2兆円、2030年5兆円とする目標を達成するためには、以下のようなさらなる取り組みが必要になっています。 
 
1)輸出先国の多角化 
 中国の水産物の輸入規制の影響で中国向けホタテ貝の輸出が大幅に減少したため、韓国、EU、タイ、ベトナムを新しくターゲット国・地域に指定し、輸出促進の取り組みを推進します。 
 
2)輸出国規制への対応強化 
  輸出できる品目を増やすため輸出先国の規制緩和・撤廃の交渉の推進を図るとともに国内対応の加速化を図り、特に中国向けの輸出規制の緩和・撤廃を最優先課題として取り組みます。
 
3)輸出産地の形成の推進 
 海外の規制・ニーズに対応した農林水産物について、必要な量を継続的に輸出できる主力輸出産地を選定し、国による優遇措置(交付金)で支援を実施し、輸出の拡大を図ります。
 
4)生産から輸出までの各段階の取り組み強化 
 国内生産基盤の強化として、輸出向け産地の増強、和牛の増産、有機茶の栽培強化、輸出向け養殖強化、低コスト生産の推進が挙げられ、付加価値の高い輸出のための食品製造業の体制強化のため、輸出対応できるHACCP対応施設の整備、輸出向けの新商品の企画・開発等が挙げられます。また、輸出に必要な物流の効率化・高度化が図られ、輸出国での販売促進の強化のため、商社等のビジネス支援を強化します。
 
 『農林水産物・食品の輸出について』は農林水産省の資料を参考にしました。



(C) 2009 Association for the Safety of Imported Food, Japan