no.6 2008.4.3

「平成20年度輸入食品監視指導計画」が公表されました

指導計画そのものの大きな変更はありませんが“昨年の傾向と今後の予測”を反映している「モニタリング計画数」を昨年度と比較してみますと、注目すべきものとして、新たに計画された項目として@畜産加工品の残留農薬検査、A農産加工食品の放射線照射があり、大幅に検査計画を増加させたものとしてB水産加工食品の残留農薬があげられます。
なお、大きく計画を縮小しているのは、C水産加工食品の成分規格と抗菌性物質の項目です。


@ 及びBは、加工食品についての残留農薬検査の強化だ、と言ってしまえばそうではありますが、単純に「使用したあるいはドリフト農薬の残留量の調査」だけではなく、「輸入業者が責任をもって実行すべき“安全確保(食品テロ対策も含めて)の対策”の効果検証」の意味もあるのではないでしょうか。加工食品については、一部の(基準値の設定されているもの)食品以外の残留基準値は、一義的にはすべて0.01ppm(暫定基準値)ではありますが、その暫定基準を超過している場合は、その原材料に問題が無かったかを判定するとされていますので、使用する個々の原材料が基準を遵守したものであるという事を、最も大切な確認項目として再認識するべきと考えます。

A については、昨年度の計画には無く、本年度から新たに加わった項目です。昨年ニュージーランド産、中国産、さらに日本国内でもありましたが、健康食品の原料農産物が放射線照射されたものであった事が明らかになった例によるものでしょうか。
放射線照射殺菌は“細菌数は減らしたいが、加熱殺菌をしたくないもの”(加熱すると香りがおちる、テクスチャーが変化する、色がかわる、熱効率が低い等々)について選択的に行われているようですが、日本においては承認の是非を検討中の段階であり、現状ではこのような製品の輸入は出来ません。
過去の実績から下記の4項目に該当するものは「放射線による殺菌を行っていないこと」を文書によって確認するよう指導されており、事前に準備が必要ですのでご注意ください。

 ・ 生鮮を除くスパイス、ハーブ及び香辛料
 ・ 韓国及びタイ産の麺類用調味料であって殺菌工程のあるもの
 ・ マレーシア産の食品であって殺菌工程のあるもの
 ・ 米国産の農産物の乾燥品及び粉類で、健康食品の原料として使用されるもの

C についてですが、昨年上期に頻発したベトナム産冷凍エビ及びイカからの抗菌剤、抗生物質の検出の問題も、双方の努力によって発生頻度が低下してきているため、重要度が下がったと考えるべきでしょうか、皆さんの努力の結果ですので、協会としてもお礼を申しあげます。ただし、違反がゼロになったわけではありませんので、周辺諸国(インド、バングラデシュ、中国等々)からのものも含めて充分に注意が必要です。

以上のごとく、本年度の輸入監視が推進される訳ですが、同時に発表された「輸入加工食品の自主管理に関する指針(ガイドライン)案」をご存知でしょうか、これは、昨今の冷凍食品事件に端を発して、有毒有害物質の混入防止を含めた“輸入加工食品の自主管理の推進をはかり、安全性の向上をはかる”ことを目的として、新たに示された指針です。もちろんガイドラインであり、実行を強制するものではありませんが、皆さんが日常的に(常識的に)実行している内容ですので、ご自身の日常の管理作業を見つめ直す、良いツールが示されたと理解して、再検証されたらいかがと考えます。

なお、約1ヶ月間“パブリックコメント”を求めていますので、内容について御意見等ありましたら、ふるってご提出ください。





(C) 2009 Association for the Safety of Imported Food, Japan