2021.11.2
no.57

食品添加物ついて
 1 食品添加物の法的位置づけ
  食品添加物は食品衛生法(以下法という)第4条では『この法律で添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の 加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物をいう。』と定義されています。そして、食品添加物がポジティブリスト制であることを、法12条で『人の健康を損なうおそれのない場合として厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定める場合を除いては、添加物(天然香料及び一般に食品として飲食に供されている物であって添加物として使用されるものを除く。)並びにこれを含む製剤及び食品は、これを販売し、又は販売の用に供するために、製造し、輸入し、加工し、使用し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。』と規定しています。また、食品添加物の安全性、品質を確保するために、規格基準を設けることができることを、法13条で『厚生労働大臣は、公衆衛生の見地から、薬事・食品衛生審議会 の意見を聴いて、販売の用に供する食品若しくは添加物の製造、 加工、使用、調理若しくは保存の方法につき基準を定め、又は 販売の用に供する食品若しくは添加物の成分につき規格を定めることができる。』としています。
 
   
 2 食品添加物の指定までの流れ 
   
  食品添加物はポジティブリスト制を取っているため、事業者が新規物質を食品添加物として使用するためには、事業者が必要な書類を揃えて厚生労働省に指定の要請を行うこととなります。指定までは上記の流れに沿って行われ、安全性については食品安全委員会、有効性については薬事・食品衛生審議会で判断され、指定にふさわしい場合はパブリックコメント、WTO通報、消費者庁への相談を経て、省令・告示の改正となります。 
   
 3 食品添加物の安全性 
  食品添加物の安全性に関しては、新規物質の要請にあたり食品安全委員会で厳しく審査されます。要請にあたっては10種類の毒性試験(28日反復投与毒性試験、90日反復投与毒性試験、1年間反復投与毒性試験、繁殖試験、催奇形性試験、発がん性試験、1年間反復投与毒性/発がん性併合試験、抗原性試験、変異原性試験、一般薬理試験)を実施し、無毒性量(長期にわたって実験動物に投与しても、何の影響も認められない最大投与量)を求め、この無毒性量を安全係数(通常100)で除した値が、ヒトの1日摂取許容量(ヒトがある食品添加物を一生涯、毎日摂取しても悪影響が出ないと思われる1 日当たりの摂取量)が算出されます。そしてこの1日摂取許容量を超えないために食品添加物には使用基準(使用できる食品の種類、使用量、使用目的および使用方法などを制限)が設けられています。
 
   
 4 食品添加物の種類 
 
  定義  備考 
指定添加物
(472品目) 
安全性と有効性が確認され、厚生労働大臣より指定された添加物   
既存添加物
(357品目) 
平成7年の法改正の際に、我が国において既に使用され、長い食経験があるものについて、例外的に指定を受けることなく使用・販売等が認められた添加物  安全性に問題があるもの、使用実態のないものは消除 
天然香料
(約600品目) 
動植物から得られた物又はその混合物で、食品の着香の目的で使用されている添加物 指定制度の対象外  
一般飲食物
 添加物
(約100品目) 
一般に食品として飲食に供されている物であって添加物として使用されているもの
 
   2021年1月15日現在
   
 5 食品添加物の表示 
   食品に食品添加物を使用した場合の表示は、食品素材と明確に分け食品添加物全体に占める割合の多いものから順に原則すべての食品添加物を表示します。食品添加物の表示は物質名を表示するのが原則ですが、公衆衛生や消費者の選択に役立つ8種類の用途については、使用される添加物は物質名に加えて用途名を併記しなければなりません。この8種類の用途名とは、甘味料、着色料、保存料、糊料(増粘剤・安定剤・ゲル化剤)、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防かび剤・防ばい剤です。また、主に複数の食品添加物を組み合わせて使う14種類の用途であって、なおかつ、定められた範囲の添加物を使用する場合は、物質名を表示する代わりに使用の目的を表す一括名で表示することが認められています。14種類の用途はイーストフード、ガムベース、かんすい、苦味料、酵素、光沢剤、香料、酸味料、軟化剤、調味料(構成成分に応じて種類別を表示)、豆腐用凝固剤又は凝固剤、乳化剤、水素イオン濃度調整剤又はpH調整剤、膨脹剤・膨張剤・ベーキングパウダー又はふくらし粉です。
 食品添加物の表示は①~③にあたる場合は表示が免除されます。①加工助剤:食品の加工の際に添加されるものであって最終食品の完成前に除去されるもの、または食品の加工の際に添加されるものであって、最終食品中に含まれる量が少なくその食品に何ら影響を及ぼさないもの。②キャリーオーバー:食品の原材料の製造又は加工の過程において使用されるが、当該食品中には当該物が効果を発揮することができる量より少ない量しか含まれていないもの。③栄養強化:栄養強化の目的で使用されるビタミン類、アミノ酸類、ミネラル類等は表示を省略できるが、一部に省略規定が適用されない加工食品があります。
 
                 
                 



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