2020.3.2
no.47

器具・容器包装のポジティブリスト制度
 日本において、食品に用いられる器具・容器包装については、食品衛生法に基づき規格基準を定めた物質について使用が制限され、それに加え業界の自主管理によって、安全性が確保されてきました。しかし、日本の制度は規格基準を定めた物質のみ使用が制限されるネガティブリスト制度を取っているため、欧米で使用が禁止されている物質であっても、規格基準を定めない限り規制することはできない問題点がありました。
 一方、欧米において、合成樹脂等の器具・容器包装については、安全性を評価し、使用を認められた物質以外は使用を禁止するポジティブリスト制度による管理が主流であり、この考え方はアジア諸国においても導入に向けた検討が進んでおり、日本は管理面で後れを取っていました。
 このような背景から、今回の食品衛生法の改正の目玉として器具・容器包装のポジティブリスト制度を実施することとなりました。
     
       
   厚生労働省資料  
     
今回の食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度は3つの柱から成り立っています。  
1) ポジティブリスト制度による国のリスク管理
    合成樹脂の基ポリマーリスト、基ポリマーに対し微量で重合可能なモノマーリスト、添加剤・塗布剤リスト(区分毎のポリマーに対する使用量制限あり)が規定され、食品用合成樹脂の器具・容器包装の製造事業者はこれらのリストに適合するものを使用することが義務付けられました。 
  2)  製造管理規範(GMP)による製造管理の制度化 
    食品用合成樹脂の器具・容器包装の製造事業者は食品衛生法施行規則(昭和23年厚生令第23号)第66号の5で規定されている製造管理規範(GMP)を遵守することによって適切な製造管理を実施することが義務付けられました。  
  3)  ポジティブリスト適合性を確認できる情報を提供 
    食品用合成樹脂の器具・容器包装の製造事業者は器具・容器包装の販売相手に対し当該器具・容器包装がポジティブリストに適合していることを確認できる情報を提供することが義務付けられました。 
                 
   また、監視指導を行う地方自治体が食品用合成樹脂の器具及び容器包装の製造事業者を把握するため、当該事業者は名称及び所在地その他の事項を都道府県知事に届け出ることが義務付けられました。 
  施行時期は、食品衛生法で2年以内に施行すること決められているため、2020年6月1日付の施行となっていますが、ポジティブリストの告示が2020年2月にずれ込んだため、施行日までに製造事業者が対応するのが難しい事、ポジティブリストへの追加収載の手続きが必要な原材料が存在すること等を考慮し、5年の経過措置期間を設けることとなりました。これによって、施行時に既に流通している製品と同じ合成樹脂の場合には、ポジティブリストが未収載の物質も使用可能となりました。
   
     
     
   経過措置期間後も同じ合成樹脂を使用したい場合は、経過措置期間中にポジティブリストへの追加収載が必要となります。   
     
                 
                 
                 



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