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昨年食品衛生法の大改正が行われ(2018年6月13日公布)、その中の目玉の一つがHACCPに沿った衛生管理の制度化です。HACCPとは原材料入荷から製品出荷までの各工程ごとに、微生物による汚染、金属の混入などの危害要因を分析したうえで、危害要因を除去低減させるために特に重要な工程を継続的に監視・記録する食品の衛生管理の手法であり、従来の品質管理の手法である最終製品の抜き取り検査に比べ、問題のある製品の出荷をより効果的に防止することが可能となる手法です。
このHACCPシステムは1960年代アメリカのアポロ計画において宇宙食の安全確保を目的に開発された手法であり、その後、1993年コーデックス委員会が「食品衛生の一般原則」の付属文書として「HACCPシステム及びその適用のためのガイドライン」を公表しました。
我が国では1996年に厚生労働省がHACCPの概念を取り入れた総合衛生管理製造過程承認制度をスタートさせ、また、食品事業者全体にHACCPの普及を図るため、1998年に農林水産省と厚生労働省の共管で食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法(HACCP支援法)をスタートさせました。しかし、HACCP導入が任意の制度であったため、大手食品事業者ではHACCPの取り組みが進んでいますが、中小食品事業者での普及率は3割程度にとどまっていました。その間、欧米を中心にHACCPの義務化が進み、我が国は世界の潮流から取り残された状態になっていました。このような背景を踏まえ、今後の食中毒の発生のさらなる低減や、諸外国との食品の輸出入を円滑に行うため、昨年の食品衛生法の改正で、原則すべての食品事業者に一般的衛生管理に加え、HACCPに沿った衛生管理を求めることとなりました。ただし、規模や業種等を考慮して一定の食品事業者には取り扱う食品の特性に応じて柔軟に対応することを認めました。
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