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2019.11.1 |
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no.45
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平成30年度輸入食品監視指導結果と10年前との比較
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輸入食品監視指導計画は平成15年に大改正された食品衛生法に規定されたものであり、食品等の輸入について国が行う監視指導の実施に関する計画です。国はこの計画に基づき、輸入食品の輸出国段階、輸入時段階の監視指導を行っています。輸入食品の国内流通段階の監視指導はこれとは別に、都道府県等が策定した食品衛生監視指導計画に基づき、各都道府県等が行っています。
今回の「輸入食品事業者の窓」では、令和元年8月28日に厚生労働省から公表された平成30年度「輸入食品監視指導計画に基づく監視指導結果」の概要を説明するとともに、10年前と輸入食品の状況がどう変わったかを比較してみましょう。
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1 |
届出・検査・違反状況 |
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届出件数
(件) |
輸入重量
(万トン) |
検査件数
(件) |
違反件数
(件) |
違反割合
(%) |
平成30年度 |
2,482,623 |
3,417 |
206,594 |
780 |
0.38 |
平成20年度 |
1,759,123 |
3,155 |
193,917 |
1,150 |
0.59 |
対20年度比 |
141% |
108% |
107% |
68% |
64% |
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平成30年度の輸入届出は248万件、輸入重量は3400万トンであり、10年前と比べて届出件数で140%と大幅に増えているのにかかわらず、違反件数及び違反割合は2/3となっています。 |
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2 |
モニタリング検査実施状況 |
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実施件数(件) |
違反件数(件) |
違反割合(%) |
平成30年度 |
56,036 |
149 |
0.27 |
平成20年度 |
49,133 |
221 |
0.45 |
対20年度比 |
114% |
67% |
60% |
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モニタリング検査は食品群ごとに過去の輸入実績や違反率等を考慮し、輸入食品監視指導計画において、検査件数や検査項目を定めています。平成30年度のモニタリング検査は56,000件実施し、149件の違反が確認されました。10年前と比較して、届出件数が増えているため、実施件数は1.1倍と増えていますが、違反件数及び違反割合は2/3になっています。 |
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3 |
検査命令検査実績 |
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対象品目 |
検査件数(件) |
違反件数(件) |
違反割合(%) |
平成30年度 |
139 |
60,373 |
213 |
0.35 |
平成20年度 |
207 |
95,490 |
421 |
0.44 |
対20年度比 |
67% |
63% |
51% |
80% |
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平成31年3月31日時点の検査対象品目は139品目、平成30年度は6万件の検査を実施し、213件の違反が確認されました。これを平成20年度と比較すると、対象品目、検査件数共に2/3となり、違反件数は半減する結果となっています。 |
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4 |
延べ違反状況(件) |
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平成30年度 |
平成20年度 |
対20年度比 |
微生物規格違反 |
215 |
260 |
83% |
有毒・有害物質含有及び病原微生物汚染違反 |
187 |
181 |
103% |
指定外添加物使用及び食品添加物使用基準違反 |
114 |
142 |
80% |
残留農薬規格違反 |
131 |
359 |
36% |
腐敗・変敗違反 |
45 |
75 |
60% |
残留動物用医薬品規格違反 |
26 |
115 |
23% |
器具及び容器包装規格違反 |
42 |
43 |
98% |
その他違反 |
53 |
51 |
104% |
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813 |
1,226 |
66% |
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平成30年度の違反件数は平成20年度に比較して2/3になっていますが、どのような分類の違反が減ったことによる影響が大きいかを見てみました。大幅に減少しているのは残留農薬規格違反と残留動物用医薬品規格違反で平成20年に比較して1/3になっています。
これは、残留農薬及び残留動物用医薬品のポジティブリスト制度が施行されたのが平成18年5月29日であり、平成20年度はポジティブリスト化されて日が浅いため、輸出国の対応や輸入食品事業者の対応がうまくいっていなかったことに対し、平成30年度はこの10年間の経験を活かし、輸出国の対応や輸入食品事業者の対応が実を結んだ結果と思われます。
しかし、有毒・有害物質含有及び病原微生物汚染違反は全体としてこの10年で違反件数が413件減っているにも拘らず、7件増えた結果となりました。この違反のほとんどがアフラトキシンの違反であり、違反件数が平成20年度126件から平成30年度155件に増加した結果が影響していると思われます。アフラトキシン汚染を防止するためには、カビを発生させないこと(調温調湿)が第一ですが、自然環境や設備面で難しい面もあるのではないでしょうか。 |
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5 |
国別違反状況 |
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平成20年度 |
平成30年度 |
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国名 |
検査数量
(件) |
違反件数
(件) |
違反割合
(%) |
国名 |
検査数量
(件) |
違反件数
(件) |
違反割合
(%) |
1 |
中国 |
88,205 |
259 |
0.29 |
中国 |
77,790 |
179 |
0.23 |
2 |
アメリカ |
19,073 |
140 |
0.73 |
アメリカ |
18,881 |
133 |
0.70 |
3 |
タイ |
16,767 |
110 |
0.66 |
タイ |
12,126 |
53 |
0.44 |
4 |
ベトナム |
13,963 |
72 |
0.52 |
ベトナム |
18,369 |
52 |
0.28 |
5 |
台湾 |
5,259 |
57 |
1.08 |
フランス |
11,744 |
32 |
0.27 |
6 |
エチオピア |
146 |
55 |
37.7 |
イタリア |
8,660 |
29 |
0.33 |
7 |
カナダ |
2,407 |
51 |
2.12 |
台湾 |
3,192 |
26 |
0.81 |
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平成20年度と平成30年度の国別違反件数の多い国ワースト7か国を挙げてみました。
違反状況の推移を見てみると、上位4か国は10年経っても変わらず、中国、アメリカ、タイ、ベトナムの順になっており、輸入数量、検査数量が多い国が占めています。しかし、上位4か国はともに違反割合が下がっており、各国の努力が現れています。 |
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6 |
まとめ |
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平成30年度と平成20年度を比較してみますと、違反状況は大幅に改善しており、これは行政の輸出国への安全対策の指導強化に加え、輸入食品事業者の自主的な安全管理の取り組みが実を結んだ結果と思われます。しかし、今後も輸入届出件数は増加することが見込まれますので、一度努力を怠れば、違反件数が元に戻ってしまうことも大いに考えられます。輸入食品事業者は、輸入食品のサプライチェーンの各段階において、安全性確保の不断の努力を惜しまないことが大切なのではないでしょうか。 |
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