2015.6.25
no.40

カナダ保健省はMOL2940株由来のアスパラギナーゼを認可
 2015年5月15日 Health Canada(カナダ保健省)は認可食品用酵素リスト(List of permitted food enzyme)を改正。Bacillus subtilis MOL2940由来の酵素(アスパラギナーゼ)をパン、小麦粉、全粒小麦粉、規格外食品、コーヒー(生豆)に使用することを許可しました。
 ジャガイモや小麦を主食とする国民にとって、加熱調理によるアクリルアミド生成は避けて通れない問題であり、強く加熱しないことが主な対策(結果として美味しくない)でしたが、調理以前にアスパラギン酸を変性させてしまえば、アクリルアミドの生成を強く抑える事が確認され、遺伝子組換え微生物によるアスパラギナーゼの研究/安全性確認が進んでいました。
 我が国においても 安全性審査(H25.9月)及び添加物としての使用許可(H26.11月)がなされ、ポテトチップメーカー等による製品化の検討が進められている事と思いますが、今回のカナダの動きを調べてみましたところ、若干の心配があると考えましたので、お伝えしたいと考えます。
     
  (1) 今回カナダが許可したアスパラギナーゼは「Bacillus subtilis MOL2940」由来の酵素である。また、カナダはすでに以下の遺伝子組換え微生物由来のアスパラギナーゼを許可しており、これで4種が許可されたことになる。  
    ①Aspergillus niger AGN7-41  
    ②Aspergillus niger ASP72   
    ③Aspergillus oryzae pCaHj621/BECH2#10  
  (2) 日本が許可しているアスパラギナーゼは「Aspergillus niger ASP72」由来のもののみである。   
     
   つまり、日本は上記②しか許可していない訳ですから、今回許可されたものも含めて、不許可の添加物使用にならない様に注意して点検確認をしなければならない事になります。
 酵素は遺伝子組換え表示の義務はないからといっても、日本で未承認のものを使用すれば違反食品ですから、カナダからの「小麦やジャガイモを使用した食品で、焙焼した食品」は一度ご確認ください。
 
     
  情報元はこちら   http://www.hc-sc.gc.ca/fn-an/consult/nom-adm-0050/index-eng.php  
     
   なお、すでに栽培/食品加工が許可されているとの情報がある以下の農産物については、原材料や加工品として混入する可能性があります。我が国ではまだ未承認ですので、くれぐれもご注意を。  
  ◎米国(Simplot)シンプロット社が開発した「InnateTM potato」  
    傷や打撲で黒変せず、アクリルアミド生成も少ない遺伝子組換えポテト  
  ◎カナダ(Okanagan Specialty Fruits)オカナガン社が開発した「Arctic apples」  
    皮をむいても茶色くならない遺伝子組換えリンゴ、グラニー種とゴールデン種の二種あり  
     
  【すでに複数回の違反実績のある遺伝子組換え作物・加工品】  
  ◎タイ、中国から輸入されたパパイヤ(遺伝子組換えPRSV-SC系及びPRSV-YK系)生果実及びその乾燥果実  
    ※日本は55-1系統だけ許可しています。   
  ◎中国から輸入された米(遺伝子組換えBT-63系及びCry1Ac系)と加工品  
    ※ビーフン、おかゆ他の加工品としてEUでも発見されています。  
     



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