2013.3.7
no.31

中国衛生部が「食品中の汚染物質の限度基準」を公表

 2012年11月、中華人民共和国衛生部により国家標準としての「食品中汚染物限量」が公布されていますが、その施行開始日や改訂の理由、概要等についての問答が衛生部のホームページで公表されました。我が国における食品の規格基準や暫定規制値等に定められている限度量と若干食い違う部分が見られると共に、中国への輸出品について問題が発生する可能性がありますので、詳細な基準値については以下のアドレスを参照してください。

 『GB2762-2012 食品安全国家標準 食品中汚染物限量』
http://www.moh.gov.cn/ewebeditor/uploadfile/2013/01/20130128114248937.pdf
 基準の範囲は、鉛、カドミウム、水銀(総水銀とメチル水銀)、ヒ素、スズ、ニッケル、クロム、亜硝酸塩、硝酸塩、ベンゾ(ツ)ピレン、N-ニトロソジメチルアミン、PCB、3-クロロ-1,2-プロパンジオール(3-MCPD)が挙げられており、それぞれ食品別の基準値が定められています。

 限度量の基準は「可食用部分」とされており、「精米、剥皮、除殻、除骨、除貝殻」して非食用部分を除いた“食用の部分を検査し平均したもの”の最大残存量であるとされています。
 なお、当基準の施行日は、2013年6月1日です。


 鉛について:穀類が0.2から0.5ppm、野菜・果実とその加工品が0.1から1.0ppm他とされています。我が国では、厚生省告示第370号による食品の規格基準中に、清涼飲料水(粉末清涼飲料含む)の成分規格に「検出しないこと」の基準があるだけですので、基本的に心配はなさそうです。
 しかし残留農薬等の基準には鉛に関する基準があり、ホウレンソウ、リンゴ、ナシには5.0ppmの基準が定められています。なぜ、5.0ppmなのか(鉛を含む農薬他を使用する慣行があるのか、この作物は鉛を吸収し易いのか?)は判りませんが、これら3品の加工品などを中国に輸出する際には、十分に気をつける必要がありそうです。


 水銀について:我が国には暫定的規制値として総水銀0.4ppm、メチル水銀0.3ppm(マグロ類、内水面水域河川産魚介、深海魚は適用除外)の基準がありますが、中国の基準を見ますと、水産物は、メチル水銀の基準だけであり「肉食性の水産動物は1.0ppm、それ以外は0.5ppm」となっています。ウナギ、カニ等の肉食魚介については、我が国の基準を超過する可能性も否定できませんので注意をはらう必要がありそうです。

 PCBについて:同じく我が国の暫定的規制値において「遠洋魚介0.5ppm、内海内湾魚介3ppm」の基準がありますが、中国では水産動物及びその製品として0.5ppmの基準で集約されています。遠洋魚介の中国への輸出には注意が必要です。

 ベンゾ(ツ)ピレン、ニトロソアミン、3-MCPDについて:現状では我が国には当該物質の基準等はありません。かといって、無視せず、そのうち、暫定基準等の設定の可能性があるものとして記憶しておきましょう。
ただし、中国では基準化されているわけですから、該当品を取り扱う方は以下にご注意を。
 ベンゾ(ツ)ピレン →燻製品、焙焼食品。(韓国産カツオ節で昨年ニュースになりました)
 ニトロソアミン  →亜硝酸を使用した蛋白製品、肉製品
 3-MCPD    →アルカリ加水分解したアミノ酸液を含む食品、液体調味料





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