no.3 2007.8.20
輸入者等の説明会を終えて( フルーツを例にした 自主管理のポイント)

全国13箇所の検疫所で「輸入食品の安全性確保に関する輸入者等説明会」が開催されました。

これは、7月20日官房長官主催による「輸入品の安全確保に関する緊急官民合同会議」において、輸入食品等に関する安全性を疑わせる事態が頻発しているため、国民の安全・安心を確実なものとする必要があるとの認識のもと、予防的な措置の一環として、輸入者に対する情報提供と安全確保に係る要請を行うことが確認されたのを受けて、7月30日〜8月6日にかけて、検疫所と当協会の共催にて開催されたものです。6日間のべ、約1700名が参加されました。

内容を要約しますと、輸入食品については、これまで実施して来た安全対策により、違反食品等の輸入が増加するとは思えないが、国民の安全・安心をより確実なものとするには、国としては、輸出国側とも連携しつつ安全対策を強化する必要があると考えており、輸入者としても、自らが食品の安全性確保について第一義的責任を有することを再認識し、自主管理をさらに強化してほしい。ということであろうと理解しました。

もちろん私ども食品輸入に従事している者にとっても、輸入時の違反発生は大きな痛手であり、ノーチェックで輸入しているわけではありませんが、今まで以上に管理密度をあげてほしいとの要請を受けたのですから、上司や同僚との打ち合わせの際に、また、同業他社の方とお会いになる機会があれば、是非話題の一つとして再検討し、違反減少の努力をお願いします。


さて、最近の流行として、目新しいフルーツの輸入が増加しているそうで、現地でしか食べられなかった果物が味わえる事には魅力がありますが、しかし、目新しい食品には、それだけ「知られていない危険性」もあることを忘れてはなりません。

たとえば、ベリー類には野生のものを採取したものがあり、これがエキノコックス症やサイクロスポラ症の感染源となった事故もありますし、有害成分を含んでいたり(未熟のマンゴーは皮膚障害を起こす等)、食べすぎによる下痢(プルーンやサボテンの実)、ビターオレンジ(シネフリン)やノニ(アントラキノン)に含まれる医薬品成分による障害等も報告されています。産地での食べかたや注意点を充分に調査し、説明文を添付する等、消費者への情報伝達にも、努力していただきたいと考えます。

また、栽培果実で忘れてはいけない注意点は、残留農薬の問題です、もちろん皆さんは、栽培中に使用した農薬類の調査はされている事と思いますが、さらに自主管理を強化する方法として、以下の点に注意していただきたいと思います。

. 果樹と果樹の間に、野菜等が栽培され、農薬等の使用がないか?
※栽培期間外に、土を肥えさせる豆類等の栽培がよく見られます。

2. 地理的な上流(雨水等の流れて来る方向)に果樹、野菜等の栽培がされ、農薬等の使用がないか?
※山間地の段々畑等では、上段の田畑に使用された農薬等の流入があります。

. まったく使っていません。と言われた場合であっても、もし、病虫害が発生した場合には、どんな薬剤を使用したり対策をとっているのか?
※普段は無農薬であっても、収入を確保するためにはイレギュラーに農薬散布するものです。

いわゆるドリフトとして片付けてしまった違反のなかにも、調査すれば防げた筈のものもあったのではないでしょうか。

いずれにしても、今までと同じ調査で済ませるのではなく、もう一歩踏み込んだ情報・知識を入手し、使用する農薬をより残留性の少ない、あるいはADIの大きい成分への変更を提案する等の改善努力を行っていただければと考えます。




(C) 2009 Association for the Safety of Imported Food, Japan