no.18
2010.7.7

平成22年度 セミナー「遺伝子組換え農作物の安全性評価と世界の情勢」について

大阪(7月1日)、東京(7月6日)において、独立行政法人農業生物資源研究所 遺伝子組換え研究推進室の田部井室長をお招きして、輸入食品衛生管理者を対象としたセミナーを開催しました。

前半に、東京及び大阪の検疫所食品監視課長による「輸入食品の安全性確保について」と題して、本年度の監視指導計画の骨子等のお話をいただいた後、田部井先生の講演となりましたが、遺伝子組換え技術についての基礎的なお話から、最新の研究成果及び諸外国の状況等、大変興味深い内容であり、講演後の質疑応答も活発な質問が続きました。

なかでも、米国やアルゼンチン、ブラジル等の穀物主要生産国における遺伝子組み換え農作物の栽培が年々増加の傾向であり、もはや日本の国土の3.5倍の規模であること、大豆、トウモロコシの7割以上が遺伝子組み換えである現状に衝撃を感じた方も多かったのではないでしょうか。

栽培農地の確認、IPハンドリングの再点検、輸入時の検査などの違反防止対策や誤混入防止対策の点検等が益々重要となっているのはもちろんの事ですが、組換え作物を利用することについて、本気で検討をしなければならない時が来ている事をあらためて感じた次第です。

最近の欧米での輸入時違反の情報についても、カナダ産の麻の実に遺伝子組換え(FP967)が混入していることが判明して、ミックス粉(パン用、製菓用)や菓子の回収がされたこと、中国産の米及び米加工品(ビーフン、米粉)からのBT63や、Kefeng6の検出が続いていること、米国では、昨年9月にパパイヤ(X-17-2)の栽培が解禁されたこと(日本国内でも、パパイヤ55-1系の安全性の確認が終了し、表示規制の法令化待ちとのこと)の他トマト、ピーマン、かぼちゃ等の新規の作物の参入が見られますので情報の収集が必要です。今後も対象作物が増加し、安全性評価作業に益々拍車がかかる事が予想されますので、対応に遅れがないようにしたいものです。

なお、蛇足ですが、商品への表示の必要がない為つい忘れてしまいがちですが、遺伝子組換え細菌等を使用して産生した酵素やビタミン、着色料、糖類等も存在します、我が国では7月5日現在、14種の添加物しか安全性審査を通過しておりませんので確認をお忘れなく。





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