no.15 2009.12.22

海外産農産物に関する最近の話題について

1 使用されていた竹串から「2-クロルエタノール」が検出され、ソーセージや和生菓子などの複数の製品が回収された件について
洗浄剤だの塗料の溶剤だのと説明されていますが、これは、ジクロロエタンと混同されている様で、明らかに誤りと思われます。2-クロルエタノールは医薬品やプラスティックの可塑剤の原材料であり水によく溶け、木製家具の防虫・防腐等に広く利用されています。
2-クロルエタノールに汚染された竹が、竹串用の材料に一部混入しただけの単純なケースなのかもしれませんが、もっと深い所にある問題を注視しなければならないと感じます。
日本向けの製品として、色調や細菌数等「厳しい製品基準」が要請されると、その基準を実現出来る技術・知識のないメーカーは、違法と意識せずに安易な対策に走ってしまうことがあるもので、輸入時に発見され違反となった、放射線殺菌、四塩化炭素殺虫、硫黄燻蒸(漂白)などの例はこの代表であり、食品加工メーカーだけの点検・監査に留めず、その上流の資材や原材料メーカーに対する指導・教育・点検もまた不可欠な時代となっています。下記2・の事例を含め、充分に検討しましょう。


2 放射線照射された食品の発見が多発していることについて
生鮮を除くハーブ及び香辛料等について放射線照射殺菌を許可している国がある事は皆さんもご存知でしょうが、最近「寿司用殻むきシャコ、乾燥シイタケ、ウーロン茶、乾燥ネギ、冷凍カエル」等による違反が発見されています。
いずれも加熱殺菌がし難い製品についての「細菌数低減が目的」の様ですので、この様な違法加工の真の原因は、「衛生管理・衛生的加工処理の技術が未熟な業者に、指導・教育が不十分なまま、実現困難な細菌基準を押し付けた」事ではないかとも考えます。
日本ではジャガイモの発芽抑制にしか(異物検査への応用も一部あり)認められていない事を説明するとともに、加工前原料の処理方法、器具等の洗浄殺菌方法、交換頻度、定温保持管理対策、工程別の点検方法等のSSOPを含め、HACCPを導入した管理法を指導する等の丁寧な工場管理技術の教育と指導が大切なのではないでしょうか。


3 中国農業部安全評価委員会が09年12月に「中国初の遺伝子組換え農産物(高フィターゼトウモロコシ)に安全証書」を発行し、産業化がスタートしたというニュースについて
すでに、日本に輸入された食品からBT63米の検出が見られますので、中国で初というのが意味不明ではありますが、中国産トウモロコシも「日本で未承認のGMO」が栽培されているので注意をはらわなければならなくなったということです。現状では、中国からの食用トウモロコシは、ほとんど輸入されていませんが、そもそもフィターゼとは「リンの吸収効率を向上させる酵素」のことですから、飼料用のトウモロコシではないかと思いますので、分別保管~流通など注意がはらわれていないのではないかと思います。デンプン加工用トウモロコシ等への混入が心配です。また、中国ばかりではなく「カナダ産の亜麻(FP967)、ナタネ(RT73)」なども、近頃輸入時に発見されている「安全性未審査」のGMOです、IPハンドリングの信頼性等を含めた、産地~加工場~食品工場の現地調査に重要性が高まっています。







(C) 2009 Association for the Safety of Imported Food, Japan