no.13 2009.6.25

「食品安全法」が施行された中国の現状について


中国で「食品安全法」が施行開始

2009年6月1日、中華人民共和国食品安全法が施行開始となり、従来の食品衛生法が廃止されることとなりました。
「従来の食品衛生法からの主な変更点」
権益侵害された消費者の賠償請求権を明確化
食品安全基準に合致しない食品を製造あるいは販売した場合は、消費者は、損害賠償を求めることが出来る。また、人身、財産その他のものを侵害された場合は、その価格の10倍の損害賠償を求める権利を保証した。
食品添加物の生産、使用に関する規範は、国の定めるリスト(注)を遵守
人体に害がないと証明できたとしてもリストにない成分を使用してはならないとし、その使用量、目的についても規範を遵守しなければならないとした。各添加物についての純度等の基準は今後定める。
保健食品の広告治療機能表示の禁止
医薬品として認められていない「保健機能を具えた食品」は人体に有害であってはならないとし、疾病予防、治療等の効能表示の禁止、成分、使用方法等の表示の規制も定められた。
検査の減免制度の廃止
従来の法規で認められていた「製品検査の免除、検査免除の企業」の制度を廃止し、県クラス品質監督、商工行政管理、食品・薬品の監督管理部門は、すべての食品について、定期、不定期に購入し、検査を行わなければならないとした。
国家統一の基準化
たとえば食用農産物の基準、食品衛生の基準、食品の品質基準等、それぞれによる基準で重複・くいちがいが見られるものがあったが、国務院の衛生行政部門が整合性を付与し、国家基準として統一的に公布するとした。

(注 従来の添加物基準(GB-2760/1996と栄養食品添加物基準GB/T12493)が修正され、新たにGB-2760/2007として公布されています。大幅に変更されていますのでご注意ください。
「食品中可能違法添加的非食用物質和易乱用的食品添加剤名単 第三批」の発表

5月に発表された17品種の例と同様に、実例として発見された「コストダウンのための粗悪な原材料」、「製品(原料)の品質をごまかす、あるいは不当に良いものに見せるために使用されていたもの」であり、このような悪質な食品が市場に実際にあるから注意しなさいという情報ですので、該当する食品をお取り扱いの際は、機会をみて検査確認あるいは、製造工場を訪問した際に「該当する薬物他が周囲にないか」の点検を心がけることをお勧めします。

成分 使用される食品 使用目的 備考
廃棄食用油 食用油 コストダウン 酸、アルカリ洗浄の際の不純物残存の危険
工業用鉱物油 古米 見た目改善 食品ではない
工業用ゼラチン アイスクリーム
冷凍肉
コストダウン BSEプリオンを含め、原料素材から移行する不純物の危険性
工業用アルコール にせ酒 コストダウン メタノールが残存している
DDT ハム
塩干魚
虫付着防止 中国でも08年に使用禁止となった農薬
毛髪分解物 醤油 コストダウン アミノ酸液ではあるが、食品ではない
工業用酢酸 にせ酢 酸度調整 重金属やアルデヒド等の不純物が残存している
タルク 小麦粉 コストダウン 添加物ではあるが、使用目的が正しくない
硫酸第一鉄 臭豆腐 見た目改善 添加物ではあるが、使用目的が正しくない
※備考欄の記載と日本語訳は筆者が行っています。誤訳等ありましたらお許し下さい。



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