2023.11.6
no.69

JAS制度について
1 JAS制度とは
  従来のJASは、粗悪品を排除し、市場に出回る食品・農林水産品の品質を一定の範囲に揃える「平準化」を目的とする制度でしたが、近年、品質が総じて向上する中、市場のニーズは品質以外の価値・特色にまで多様化すると共に、海外取引の機会が増大したため、海外の取引相手に馴染みのない日本産品の品質や特色を説明していく機会が増大しました。
このため、2017年6月に、JAS法を改正し、JAS規格の範囲を産品の品質・仕様だけでなく、産品の生産・流通プロセス、事業者による産品の取扱方法、事業者の経営管理の方法、産品の試験方法及びこれらに関する用語など多様な規格を可能としました。
   
 2 JASの種類 
  JASの対象となる品目は、飲食料品、油脂、農産物、林産物、畜産物、水産物などです。これらの品目の品位、成分、生産行程、流通行程、取扱方法、試験方法等を定めたものがJASです。 
  規格には以下のようなものがあります。 
 ・ 有機JAS  有機農産物他4種類
 ・ 飲食料品JAS  農産物缶詰及び農産物瓶詰他52種類、新しいJASとしてはベジタリアン又はヴィーガンに適した加工食品等があります。 
 ・ 生産情報JAS  生産情報公表牛肉他3種類
 ・ 流通工程JAS  フードチェーン情報公表農産物 
 ・ 農産物(非食用)JAS  畳表他1種類 
 ・ 林産物JAS  製材他12種類 
 ・ 取扱方法JAS  有機料理を提供する飲食店等の管理方法他5種類 
 ・ 試験方法JAS  べにふうき緑茶中のメチル化カテキンの定量-高速液体クロマトグラフ法他6種類 
 ・ 用語JAS  錦鯉-用語 
   
 3 JASマーク 
 ・ JASマーク 
  品位、成分、性能等の品質についてのJASを満たす食品や林産物などに付されます。 
   
 ・ 有機JASマーク 
  有機JASを満たす農産物などに付されます。有機JASマークが付されていない農産物、畜産物及び加工食品には「有機○○」などと表示することができません。 
   
 ・ 特色JASマーク 
  熟成ハム類、地鶏肉、生産情報公表牛肉、持続可能性に配慮した鶏卵・鶏肉などの相当程度明確な特色のあるJASを満たす製品などに付されます。 
   
 ・ 試験方法JASマーク 
  基準を満たした登録試験業者が、定量試験法のJASに基づいて試験を行った結果であることを証明する標章です。試験方法JASを使用した試験の報告書などに付されます。 
 
 ・ JASマークの利用 
  昔(昭和時代)はJASマークがついているものは品質が良く、JASマークがついていないものは品質が悪いと言われていましたが、現代ではJASマークがついていなくても品質が良いものがたくさん出回り、品質が良いのが当たり前の時代となり、JASマークが品質の良し悪しのメルクマールにはなりえなくなってきています。
しかし、下記のウインナーソーセージのようにJAS規格に等級があるものは、等級によって明らかに品質の差があり、上位等級を選ぶことにより品質の良いウインナーソーセージを選ぶことができるようになっています。具体的には結着材料の量に特級:使用していない、上級:5%以下、標準:10%以下と差があり、それが品質の差となっているのです。 
   
  ウインナーソーセージの規格(抜粋) 
   
   特  級 上  級  標  準 
 結着材料
(租ゼラチン以外)
使用していないこと。 5%以下であること。ただし、でん粉含有量が3%以下であること。  10%以下であること。ただし、でん粉含有量が3%以下であること。 
結着材料(租ゼラチン)  使用していないこと。  使用していないこと。  5%以下であること。 
原材料  次に掲げるもの以外のものを使用していないこと。
1. 豚肉及び牛肉
2. 豚及び牛の脂肪層
3. 調味料
4. 香辛料 
次に掲げるもの以外のものを使用していないこと。
1. 豚肉及び牛肉
2. 豚及び牛の脂肪層
3. 結着材料
  でん粉、小麦粉、コーンミール、植物性たん白、卵たん白、乳たん白及び血液たん白
4. 調味料
5. 香辛料 
次に掲げるもの以外のものを使用していないこと。
1. 豚肉、牛肉、馬肉、めん羊肉、山羊肉、家きん肉及び家兎肉
2. 豚及び牛の脂肪層
3. 結着材料
でん粉、小麦粉、コーンミール、植物性たん白、卵たん白、乳たん白、血液たん白及び租ゼラチン
4. 調味料
5. 香辛料 
   
                 



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