2023.7.3
no.67

食品表示の最近の動き
  食品表示は日々動いています。今回はここ1~2年の動きをまとめてみました。
 1 遺伝子組換え表示の厳格化
  遺伝子組換え表示制度を全般的に見直すため遺伝子組換え表示制度に関する検討会(2017年4月~2018年3月)が立上げられ、表示義務対象範囲及び表示方法を検討した結果、表示方法について、誤認防止の観点から任意表示である「遺伝子組換えでない」の表示が認められる条件を現行制度の「5%以下」から「不検出」に引き下げることになり、2019年4月25日に公布、2023年4月1日に施行されました。  
   
   
  消費者庁資料 
  このため、「遺伝子組み換えでない」と表示している食品事業者は施行日までに、自製品の遺伝子組換え原材料の混入度合いを把握し、「遺伝子組換えでない」との表示ができるのか、できないのか。表示ができない場合は、表示を止めるのか、「分別生産流通管理済み」等の表示を行うのか、選択を迫られることになりました。 
   
 2 食品添加物の不使用表示ガイドライン
  食品添加物表示制度に関する検討会(2019年4月~2020年2月)での検討の結果、食品添加物の不使用表示は規制がなく、表示内容も多岐に渡り、一部に消費者の誤認を招く不使用表示も存在していたため、食品表示基準第9条の表示禁止事項に該当するかどうかを明確にするため、食品添加物の不使用表示に関するガイドラインを策定することとなりました。
食品添加物の不使用表示に関するガイドライン検討会(2021年4月~2022年3月)での検討の結果、「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」が策定され、2022年3月30日に「食品表示基準 Q&A」の別添として公表されました。
ガイドラインでは不使用表示を行うにあたり注意すべき表示を下記の10の類型に分類しました。 
   
  類型1 単なる「無添加」の表示 
  類型2  食品表示基準に規定されていない用語を使用した表示 
  類型3  食品添加物の使用が法令で認められていない食品への表示 
  類型4  同一機能・類似機能を持つ食品添加物を使用した食品への表示 
  類型5  同一機能・類似機能を持つ原材料を使用した食品への表示 
  類型6  健康、安全と関連付ける表示 
  類型7  健康、安全以外と関連付ける表示 
  類型8  食品添加物の使用が予期されていない食品への表示 
  類型9  加工助剤、キャリーオーバーとして使用されている(又は使用されていないことが確認できない)食品への表示 
  類型10  過度に強調された表示 
   
  そして、各類型毎に、食品表示基準第9条の表示禁止事項に該当するおそれが高いと考えられる表示を整理しました。
不使用表示を行っている食品事業者はガイドラインを用いて表示の自己点検を行い、2024年3月末までに必要に応じて表示の見直しを行うことが求められています。 
   
 3 アレルギー表示「くるみ」の義務化 
  アレルギー表示は2001年に義務表示5品目、義務表示に準じるもの19品目でスタートしました。その後、消費者庁は3年毎の「即時型食物アレルギーによる健康被害の全国実態調査」を行っており、その結果を踏まえ、随時、義務表示に準じるものから義務表示への格上げ、義務表示に準じるものへの追加を行ってきました。 
   
   
  消費者庁資料 
  上表の過去4回の原因食物別の即時型症例数の推移を見てみると、直近2回、「くるみ」が原因の食物アレルギーが急増しており、この結果及び「くるみ」の公定検査法が確立したことから、2023年3月に「くるみ」は義務表示に準じるものから義務表示への格上げされました。食品事業者は経過措置期間2025年3月31日までの間に「くるみ」使用実態について調査を行い、義務化への対応が求められています。 
                 



(C) 2009 Association for the Safety of Imported Food, Japan