2022.9.1
no.62

遺伝子組換え食品について
 1 遺伝子組換え食品とは
  遺伝子組換え技術(組換えDNA技術)とは食品として用いられている植物等の性質、機能を上手に利用するために、他の生物から有用な性質を付与する遺伝子を取り出し、その植物等に組み込む技術です。その技術を用いた植物等の食品を遺伝子組換え食品と呼びます。
   
   (農林水産省資料
   
 2 遺伝子組換え技術と従来の育種・ゲノム編集技術との違い
  人間にとって優良な形質を持った農産物を得るため、人類は交配育種という手法を用いて、異なる品種を掛け合わせることで、両親の優良な形質を併せ持つ新しい品種を選抜してきました。また人為的に放射線種照射や化学物質を用いて農作物に突然変異を起こさせ品種改良を行ってきました。ゲノム編集技術は人工酵素を使って狙った遺伝子を切断して、修復ミスにより変異を起こさせるもので、計画的に性質を変えることができる技術です。
 それに対し、遺伝子組み換え技術は他の生物の求める形質を持った外部の遺伝子を農作物に挿入する方法で、生物の種類に関係なくいろいろな生物を品種改良の材料にすることができるため、農作物の改良の幅を大幅に拡大できる特徴があります。 
   
 3 遺伝子組換え食品の安全性評価
  遺伝子組換え食品の開発や実用化が国際的に急速に広がってきたため、平成13年4月1日、厚生労働省は安全性が審査されていない遺伝子組換え食品が国内で流通しないように安全性審査を食品衛生法で義務化しました。
   
  (厚生労働省資料) 
  申請者は遺伝子組み換え食品の安全性審査に必要な書類を揃えて厚生労働省に申請①。厚生労働省は専門家により構成される食品安全委員会に評価を依頼し②、食品安全委員会は科学的根拠に基づき安全の評価を行います③④。安全性の評価結果は厚生労働省に通知され⑤、その結果、安全性に問題がないと判断された食品は安全性評価を経た旨が公表されます⑥。
わが国ではこれまでに大豆、とうもろこし等9品目330品種の農産物と73品目の添加物について安全性審査を行い、人の健康に影響がないことを確認しています。(令和4年6月9日現在)
   
 4 遺伝子組換え食品の表示
  4.1 表示対象
  安全性審査を経て流通を認められた9農産物(大豆、とうもろこし、ばれいしょ、なたね、綿実、アルファルファ、てん菜、パパイヤ、からしな)とそれを原材料とした33食品群(組換えDNA等が残存し、科学的検証が可能なもの)の中で主な原材料(全原材料中、重量が上位3品目以内かつ5%以上)のものが義務対象となっています。
   
  4.2 表示方法 
  分別生産流通管理した遺伝子組換え農産物を区別して使用している場合は○○(遺伝子組換え)など、遺伝子組換え農産物と非遺伝子組換え農産物を区別しない(不分別)で使用している場合は○○(遺伝子組換え不分別)などと表示することが義務付けられています。分別生産流通管理した遺伝子組換えでない農産物を区別して使用していて、意図せざる混入が5%以下に抑えられている場合は○○(分別生産流通管理済み)など、遺伝子組換えの混入がないと認められる場合は○○(遺伝子組換えでない)などの表示が任意で認められています。 
   
   
   
                 
                 



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